14歳未満も少年院送致 法務省、今国会に提出
http://www.sankei.co.jp/news/050121/sha072.htm 法相の諮問機関・法制審議会の少年法部会(部会長・芝原邦爾学習院大教授)は21日、14歳未満の少年についても少年院送致を可能にし、警察官による事件の調査権を明記した上で、家宅捜索などもできるようにすることを柱とする少年法などの改正案要綱を決定した。
重大事件で家裁送致され、少年鑑別所に収容された少年に国費で弁護士を付ける「公的付添人制度」の導入も付帯決議として盛り込んだ。法務省は2月の法制審総会で正式答申を受け、今国会に関連法改正案を提出する。
凶悪犯罪の低年齢化に対する対応強化が狙いだが、事実上の“厳罰化”との異論も強く、国会審議では曲折も予想される。
改正案要綱は、ほぼ法相の諮問通りの内容。現行では14歳としている少年院収容年齢の下限を撤廃し、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした「触法少年」については、家裁が特に必要と判断した場合に少年院送致できるようにする。
触法少年や、将来罪を犯す恐れがある「虞犯(ぐはん)少年」について、警察官らに調査権を付与する明文規定を設け、特に触法少年の事件では、警察官による家宅捜索など強制捜査に準じた調査を可能にする。
さらに、保護観察中の少年が順守事項を守らない場合、保護観察所長の申請により、家裁が児童自立支援施設や少年院送致の決定ができる手続きを新設。
一方、公的付添人制度の対象は(1)殺人、傷害致死など故意の行為で被害者を死亡させた罪(2)法定刑の下限が懲役・禁固2年以上の罪-に該当する非行事実の事件。家裁の判断によって、国費で付添人を選任する。(共同)
■触法少年と虞犯(ぐはん)少年 刑罰法令に触れる行為をした14歳に満たない少年が「触法少年」、保護者の監督に従わないなど将来罪を犯す恐れがある少年が「虞犯少年」。刑法は「14歳に満たない者の行為は罰しない」と規定し、触法少年を処罰対象から除外している。触法少年に対する保護処分について家裁は現行法上、保護観察や児童自立支援施設送致などしか選択できず、少年院への送致はできない。(共同)