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07年夏までに公選法改正 在外選挙権判決で細田氏 細田博之官房長官は14日午後の記者会見で、在外選挙権をめぐる最高裁の違憲判決に関連し「次の国政選挙には間に合うようにしないといけない」として、遅くとも2007年夏の参院選までに、海外在住の日本人に衆院小選挙区と参院選挙区の投票権を認める公選法改正を行う必要があるとの認識を示した。
細田氏は判決について「重く受け止めている。法律に反映しなくてはならない」と述べた。
(共同通信) - 9月14日17時56分更新
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在外選挙権の制限は「違憲」 最高裁判決 2005年 9月14日 (水) 16:27
海外に住む日本人らが、国政選挙の選挙区の選挙権行使を認められていないことをめぐり、国を相手に、選挙権を行使できることなどの確認と、慰謝料の支払いを求めた訴訟の判決が14日午後3時、言い渡された。最高裁大法廷(裁判長・町田顕長官)は「選挙権を制限している公選法の規定は憲法に違反する」と断じ、海外在住者も次回の衆院小選挙区と参院選挙区で選挙権を行使できる地位にあると確認。さらに、「選挙権を認める法律を作らなかったのは明らかに憲法に違反する」として、国家賠償法に基づいて1人あたり5千円の慰謝料を支払うよう命じた。
70万人を超すとみられる海外の有権者が選挙区でも投票できるよう、すみやかに法改正することを国会は強く求められる。国の根幹を決める国政選挙のあり方を国会が法律という形でどう決めるかについて、最高裁が「憲法の番人」としてのチェック機能を発揮した形だ。
これまで、選挙をめぐる訴訟では、過去の選挙が無効だとしてやり直しを求め、退けられ続けてきた。現在選挙権があることを確認する訴えはこれまであまり用いられてこなかった手法で、選挙訴訟で最高裁が認めたのは初めて。今後、選挙訴訟やほかの行政訴訟でも活用されそうだ。また、国会がある法律を作らなかったり改正しなかったりするという「立法不作為(怠慢)」について最高裁が違法を認めたのも初めてで、極めて画期的な判決となった。
最高裁が法律を違憲と判断するのは、02年の郵便法違憲判決に次いで7件目。
一審・東京地裁と二審・東京高裁は確認の訴えを却下(門前払い)し、慰謝料請求は棄却していたが、最高裁は二審判決を変更し、自ら判断した。
判決には、内閣法制局で立法にかかわっていた津野修裁判官を除く14裁判官が関与。確認については上田豊三、横尾和子の2裁判官が、慰謝料については2裁判官と泉徳治裁判官の計3人が反対意見を述べた。
在外邦人の選挙権については長年、衆院選でも参院選でも全く認められていなかった。98年の公選法改正で衆院と参院の比例区についてだけ認められたが、選挙区については認められていない。
上告していたのは、今も海外に住む11人と、提訴後に日本に帰国した2人。公選法が改正前も後も違法であることや、選挙区でも選挙権を行使する権利があることの確認に加え、96年の衆院選で選挙権を全く行使できなかったことについて1人5万円の慰謝料の支払いを求めていた。
立法不作為をめぐっては、最高裁は85年の判決で、立法行為が国家賠償法上、違法と評価されるのは、立法の内容が一見明白に憲法に違反しているような例外的な場合に限るとの原則を示した。この判例に対しては学説上、批判が強いが、裁判実務では定着してきた。
このため、96年段階の改正前の公選法がこうした場合にあたるのか、あたるとして1人あたりいくらを認めるのかが焦点になっていた。
立法不作為の違法が実際に認められたのはハンセン病訴訟の熊本地裁判決(確定)、学生無年金訴訟の東京地裁判決(高裁で取り消し)など下級審でもごくわずかで、最高裁では例がなかった。